「凶乱令嬢ニア・リストン~病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録~」(著者:南野海風 イラスト:磁石)はHJ文庫(ホビージャパン)より発売されているライトノベル作品です。
重い病を患った4歳の少女ニア・リストン。
家族の願いもむなしくその短い生涯を閉じます。
ところがその身体に別の魂が宿り、再び目を覚まします。
ニアに宿ったのは類まれなる武人の魂。
長い年月をかけて培った武の技術で病を克服し、ニア・リストンとしての人生を歩み始めます。
本作は病弱な令嬢に無敵の武人の魂が宿ったことから始まります。
よみがえったニアはこれからどう生きていくのか?
彼女の進む先にはなにが待ち構えているのか?
ライトノベルを600冊以上を読んだ筆者が書いていきます。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
概要
本作はHJ文庫(ホビージャパン)から発売されているライトノベルです。
2024年11月現在、書籍は6巻まで刊行。
2024年11月29日に最新第7巻が発売予定。
著者は南野海風氏、イラストは磁石氏が担当されています。
小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載(こちらでは題名が狂乱令嬢ニア・リストンとなっております)。
コミカライズ(作画:古代甲氏)もされており、マンガUP!にて連載中。
ガンガンコミックスup!から4巻まで発売中です(2024年11月現在)。
あらすじ
重い病を患っていた4歳の少女ニア・リストンは、その短い生涯に幕を下ろしました。
しかし、彼女の病を治すべく両親が雇った男が、反魂の秘法で別の魂を息絶えたニアの身体に宿します。
男にとっては報酬を受け取るまでの時間稼ぎでした。
しかし、宿ったのは類まれなる武人の魂。
”気”の力で病を克服し、ニア・リストンとして新たな人生を歩むことを決意します。
ニアは前世と同じく武の道を志しますが、同時に本当のニアができなかった家族への恩返しも考えます。
ニアの家ーーリストン家はアルトワール王国の第四階級貴人(=貴族)です。
ニアの両親は魔法映像(マジックビジョン)の仕事にたずさわっており、領地で番組制作などを行っています。
それは新しい産業の発展に伴う利権もありましたが、病気のニアを救う手段を魔法映像を通じて広く求めるためでもありました。
それを知ったニアは自分にできることを考え、同時に周囲からの勧めもあって魔法映像の番組に出演することになります。
武の道を進むのと同時に、魔法映像にも深く関わっていくことになるニア。
その過程で多くの人々と知り合い、いくつもの騒動を起こしていきます。
世界観
ニアたちの暮らす世界は大地が海から離れ、空中に浮いた浮島と呼ばれる状態となっています。
数百年前までは海に根づいた一つの大陸でしたが、特級魔獣が大地を割り、そのカケラが浮島になったと伝えられています。
浮島の生態系はバラバラで、さらにダンジョンも存在しています。
飛行船が開発されたことで移動が可能となり、浮島への調査・探索がはじまったのが百年ほど前。
浮島やダンジョンの調査・探索を行う冒険家という職業も存在しています。
ニアの暮らすアルトワール王国は王制で、王を一位として下に十五位まで階級があります。
十五から十二位まではただの庶民、十一位からは貴人(貴族)となります。
リストン家は第四位――上から四番目の階級にある貴族、貴人で、国内に十家もありません。
魔法が存在するこの世界では、それを応用した技術も存在します。
それがアルトワール王国で生まれた魔法映像(マジックビジョン)と、それを映し出す魔晶板(ましょうばん)です。
技術としては新しく、魔晶板も高価な代物、そのため普及が進んでいないのが現状です。
リストン家はこの事業に率先して関わっており、当初はアルトワール王国とリストン家のみが放送チャンネルを持っていました。
その後、シルヴァー家も参入しますが、より普及させるにはもっと多くの支援が必要とされています。
主な登場人物
ニア・リストン
本作の主人公
本当のニアは病で亡くなっており、現在はある武人の魂が宿っている。
生前は類まれな武人だったらしく、その力は作中でも並ぶ者がいないほど。
それでも前世の最盛期には及ばないとしている。
両親から受けた恩を返すために魔法映像の番組に出演する。
2週間で37本撮りなどの過密スケジュールをこなしながらも奮闘する。
リノキス
ニア専属の侍女
ニアに対してかなり偏った愛情を注ぐ。
冒険家志望だったこともあり、戦闘技術も身につけていたが、ニアの驚異的な強さを知って弟子入りする。
魔法映像普及のために武闘大会を開こうとするニアの指示で、冒険家リーノとして資金稼ぎをすることに。
レリアレッド・シルヴァー
呼び名はレリア。
第五階級貴人シルヴァー家の四女。
ニアにライバル心を抱き、自らも魔法映像の番組に出演します。
ライバル関係ではありますが、魔法映像の普及率が低いため、ニアとヒルデの3人で意見を交わします。
ヒルデトーラ・アルトワール
アルトワール王国第三王女。
「意外に会えるお姫様」がキャッチフレーズ。
魔法映像に出演することで人気を得て、王都では知らぬものがいないほどの知名度を誇ります。
父である国王を非常に嫌い。
ニール・リストン
ニアの兄で、次期リストン家の当主。
非常に整った容姿をしており、数回だけ魔法映像に出演しただけで多くのファンを獲得。
送られてきたファンレターには、かなりきわどい内容のものもあったらしく、少しトラウマになっています。
アンゼル
元はマフィアの用心棒。
ニアに関わりを持ち、その過程でボコボコにされる。
その後は酒場の店主となりますが、ニアから武闘大会の資金稼ぎへの協力を求められます。
その見返りはニアから教えを受けること。
アンゼルはその取引を了承し、ニアから”気”の扱い方などを学びます。
フレッサ
アンゼルと同じ裏社会の人間で、暗殺などを生業としている女性。
アンゼル同様、ニアの教えを受ける代わりに資金稼ぎに協力します。
資金稼ぎの手段が魔獣狩りなので、対人戦闘を得意とする彼女は苦戦を強いられることに。
ガンドルフ
アルトワール学院にある天破流道場の師範代代理。
リノキスと手合わせをして敗北し、彼もニアから教えを受けるようになります。
師となったニアを尊敬し、礼儀正しく接します。
リネット
ニールの専属侍女。
リノキスとはアルトワール学院の同期で、同じ冒険科で学んでいました。
ニールに対して強すぎる忠誠心を持ち、ところどころ不穏な言動が見られます。
リノキスがリーノとして行動している間、ニアの世話もすることになり、その時にニアに教えを請います。
リネットも資金稼ぎに参加しながら、ニアに鍛えてもらいます。
コミカライズ版
古代甲氏の作画でマンガUP!にて連載中。
ガンガンコミックスup!から単行本が4巻発売中(2024年11月現在)
絵がとてもきれいでバトルものとは思えないほど。
キャラクターたちの感情表現が細かくなされ、表情や雰囲気からよく伝わってきます。
ニアがチンピラを殴りに行く際、嬉しさがあふれ出している表情をしていました。
大嫌いな父親について語るヒルデは、背景までも使って感情を伝えてきます。
まとめ
武人の魂を宿したニア・リストン。
武で無双する話かと思いきや、魔法映像やその番組への出演なども絡んできて、戦いだけの話ではありません。
本物のニアに対する弔いとして、彼女の分まで両親に孝行しようとするニア。
そのため両親が行っている魔法映像の事業に、広告塔として積極的に協力します。
とはいえ武においては無敵である彼女も、撮影の過密スケジュールには苦労させられます。
武の探求もやめたわけではなく、強敵との死闘を望んでいますが、いまのところそれを叶えてくれそうな相手はいません。
彼女の願望をかなえてくれる相手は見つかるのか?
今後の展開に期待していきたいと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。